【法人営業・IT請負のリアル】「0.5人月案件に価値はあるのか?」中小IT企業が抱えるリソースと営業の悩み
2025.6.4
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- 代表取締役浦谷 将太
- 南山大学を卒業後、Web制作、AIチャットボットKUZEN、アプリ受託開発、ITコンサルティング事業に累計約6年間携わり、営業経験は約10年。
2021年に株式会社Desafiosを設立し、Webアプリ開発、セールスマーケティング支援、コンサルティング、DX支援事業を行う。
アプリ開発やWeb制作プロジェクトでは、PMやPMO、コンサルタントとして、プロジェクトマネジメントやコンサルティング、COO代行業務などを担当し、クライアントの目標達成に向けて尽力している。受託案件実績は200件以上。
カスタマーサクセスの精神を大切にしながら、顧客のビジネス成長を支援。
- 所有資格
- 宅地建物取引士、日商簿記2級
目次
- はじめに:法人営業における「隙間」と「課題」
- 請負型ビジネスの落とし穴と、リソース最適化の難しさ
- 0.3人月、0.5人月の“隙間リソース”をどう埋めるか
- PM・PMO・SEの役割分担と人材戦略
- 技術とマネジメントの融合が利益を変える
- 優秀なSEの価値と、市場競争力の高め方
- 営業が技術を理解し、技術が営業を理解する組織へ
- 面談・案件アサインの失敗を防ぐ工夫
- 零細SIerから脱却し、信頼ある取引先を開拓するには
- SIとSES、どちらに営業すべきか?判断の軸とは
- まとめ:自社の強みを見直し、利益構造を変えるために
はじめに:法人営業における「隙間」と「課題」
IT業界、特にSESや請負開発ビジネスでは、
「0.5人月しか余っていない」「次の案件が1か月後からで空白がある」といった
“リソースの隙間”に関する悩みが絶えません。
こうした“もったいない稼働”をどう埋めるか、また営業の立場から何ができるのか——
本記事では、浦谷代表が実際に受けた経営相談をもとに、
法人営業と人材戦略の現場課題について考察していきます。
請負型ビジネスの落とし穴と、リソース最適化の難しさ
請負型開発ビジネスは売上の見通しが立てやすい一方、納期や品質、急な仕様変更への対応などで、
稼働やコストのコントロールが困難になりがちです。
また、アサインが終わった後の“半端時間”を埋めることは難しく、
営業と技術の間で齟齬が生まれることもあります。
たとえば、3か月の案件が終わった後に、次のアサインまでに2週間の空白ができる。
この期間、技術者は社内待機になることも多く、場合によっては稼働ゼロになるケースも。
こうした「隙間稼働」が積もることで、年間収益に大きな影響を与えます。
さらに、請負型はプロジェクトごとの完結型ビジネスであるため、
納品が終われば関係性も終了しやすく、継続性が持ちづらいという側面もあります。
0.3人月、0.5人月の“隙間リソース”をどう埋めるか
「あと0.3人月稼働できる」「別プロジェクトに少し空きがある」という“リソースの隙間”を埋めるには、
単に稼働先を探すだけではなく、案件の粒度、商流、稼働調整など複合的な視点が必要です。
たとえば、ある企業では複数の技術者が細切れに余っており、
営業側がその調整を仕切れず困っていました。
このような場合、複数人をチームとしてパッケージ化し、
1案件にまとめて提案することもひとつの手段です。
また、副業エンジニアや短期支援プロジェクトを組み合わせることで、
稼働を補完する仕組みも構築可能です。
案件の多様化と社内の柔軟な配置戦略が、隙間リソースを価値ある稼働へと転換する鍵となります。
PM・PMO・SEの役割分担と人材戦略
PM(プロジェクトマネージャー)とPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の
業務は高度化しており、SEとの役割の明確化が不可欠です。
「何ができる人材なのか」を営業が把握できていないと、適切な提案や単価交渉もできません。
特にPMOは、スケジュール管理やコスト見積もり、進捗報告など、
ビジネス寄りの役割を担うことが多く、技術よりもマネジメント能力が問われます。
一方、SEは技術の深さが武器ですが、現場の意思決定には影響力を持ちづらい。
営業がこの違いを理解せずに「PMOできますか?」と聞いても、
技術者が答えに窮することは少なくありません。
役割定義とそれぞれの強みを正しく伝えられることが、信頼構築の第一歩です。
技術とマネジメントの融合が利益を変える
技術力が高いだけでは売上・利益は安定しません。
マネジメントスキルと組み合わせて、実行可能な工程を設計し、
納品品質と稼働のバランスを取れる人材が求められています。
たとえば、開発現場で「動くものをつくる」ことは当たり前になりつつあります。
その中で、“動かしながら品質を担保する”こと、“変化に柔軟に対応しながら納期を守る”ことが、
次のステージとして求められます。
このレベルに達するためには、現場での経験を積み、
技術とマネジメントの両輪を備えた人材育成が不可欠です。
教育投資が中小企業にとっては大きな負担となりますが、
ここを乗り越えるかどうかで競争力が大きく分かれます。
優秀なSEの価値と、市場競争力の高め方
「この人が入ると現場の生産性が上がる」というSEには共通点があります。
仕様を読み解ける、問題点を察知できる、他の開発者に教えられるなど、周囲を活かす能力です。
こうした人材の価値を、営業が理解し、伝えられるかどうかが単価や受注率を左右します。
技術者の“見える実績”だけでなく、“裏方の貢献”をきちんと評価する目線が必要です。
また、技術者自身も「自分の価値はどこにあるのか」を把握しておくことで、
ミスマッチを減らし、長期的なキャリア形成にもつながります。
営業が技術を理解し、技術が営業を理解する組織へ
営業は「誰でもいいからとにかく稼働させる」という発想から脱却し、
「どういう人を、どういう現場に入れるとパフォーマンスが出るのか」という視点で
技術者を理解する必要があります。
技術者側も、「営業は無理なことばかり言ってくる」という認識を捨て、
営業が何を求められているのかを理解することで、両者の歩み寄りが可能になります。
たとえば、週1回の情報共有ミーティングを設ける、
営業が技術者のアウトプットを見てフィードバックをする、などの取り組みは、
社内連携の精度を高める上で非常に有効です。
面談・案件アサインの失敗を防ぐ工夫
「面談がうまくいかない」「アサインが決まっても、短期間で契約終了する」
といった問題の背景には、ヒアリング不足やスキルの誤認があります。
技術者の“できること/できないこと”を正確に言語化し、提案時には必ず現場情報と照らし合わせる。
このプロセスを怠ると、期待値のズレが発生し、契約の不成立や途中解約につながります。
また、アサイン前に1時間の「技術ヒアリング面談」を設けることも推奨されます。
営業が現場と技術者の橋渡し役を担い、齟齬を最小限にする努力が求められます。
零細SIerから脱却し、信頼ある取引先を開拓するには
元請企業からの信頼を得るには、
「採用や教育の仕組みがある」
「マネジメントができる」
「トラブル時の対応ができる」など、
継続取引に必要な“会社としての機能”を整えておく必要があります。
「誰を出してもある程度の品質が出る」状態を目指すには、技術力だけでなく、
組織力や育成ノウハウも欠かせません。
営業資料や会社紹介に、単なる実績だけでなく「どう人材を育てているか」を明記することで、
信頼性は格段に上がります。
SIとSES、どちらに営業すべきか?判断の軸とは
SESで稼働を埋めるのか、SIでまとめて請けるのか——営業戦略は、商流や人材の性質、会社のフェーズによって異なります。
SESは稼働の平準化には向いていますが、利益率が低くなりがち。一方、SIは高単価である反面、リスクも大きくなります。会社がどのステージにいるのか、何を優先すべきかを見極めた上で、営業戦略を柔軟に変えていくことが重要です。
まとめ:自社の強みを見直し、利益構造を変えるために
リソースの最適化、技術者の見極め、営業・技術間の情報共有、信頼される商流づくり。
これらは全てつながっています。
“人を売る”ビジネスにおいては、人の本質を見抜き、
組織としての信頼力を高めることが、収益力を決める鍵となります。
あなたの会社は、自社の強みを活かせていますか?
ただ稼働を埋めるだけでなく、利益が出る仕組みになっていますか?
変化の激しい時代だからこそ、営業と技術、そして経営の三位一体で、
自社のビジネスモデルを再設計していく必要があります。
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